幸せな島―新しい生き方とは

島に移住しました。島の生活とそこから学んだ生き方について。

誰に対してもそうする

都会にいるときに、知らないおばあさんが重い荷物を持って歩きにくそうにしているので近くの家まで連れていったら、知人にたいそう怒られたことがありました。

そんなことをして何かあったら責任が取れない、知らない人に対してはほうっておくのがいちばんいいというのです。確かに、おばあさんが急に具合が悪くなったり、ひょんなことで私が荷物の中身を落として壊したりすると、面倒が増え、仕事に差し支えたりするかもしれません。場合によっては責任問題に発展しかねません。

その時は知人の言うことも最もなのかな思いました。

知らない人に関わるか関わらないか。この視点でいくつかの例を整理してみましょう。

例えば、東京の駅でラッシュアワーに凍死した人がいた(※1)というのは、知らない人に関わらない例です。

本で読んだ話ですが、自殺稀少地域(※2)ではにわか雨が降ってきたら誰の洗濯物でも取り入れてあげるが、自殺の多い地域では親しい人の洗濯物なら入れてあげるが、親しくない人なら何もしないそうです。これは、自殺稀少地域が関わる例で、自殺の多い地域が関わらない例になります。
路上に置き続けていた自転車のかごに、いらないビニールシートを雨よけのために置いてくれた人がいた(※3)というのは、この島での私の経験ですが、知らない人に関わる例です。

どうやら、都会や自殺の多い地域は知らない人に関わらない、自殺稀少地域は知らない人に関わるという図式がありそうです。

個人的には知らない人にでも関わる(助ける)、誰に対してもそうするというのがよいと思っていますが、同時に、これは一人の意識の問題だけではなく、そのようなことがしやすい環境、共同体であるかどうかという問題もからんでいるようです(続)。

※1 2021-10-26のブログ

※2 自殺が統計的に有意に低い地域

※3 2021-11-01のブログ

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住吉浜